トリガーポイント治療
トリガーポイント治療のバイブルです。
トリガーポイントとは?
トリガーとは引き金という意味です。
筋、腱、靭帯、骨膜、皮膚などにできる硬結(しこり)で、そのしこりを押すと離れた場所に痛みが広がることからその部位が引き金となって遠くに痛みを飛ばす。
トリガーポイントができる原因
直接の外傷であったり、筋肉を過度に引き伸ばしたり、急激に縮め過ぎたり、また繰り返し負荷をかけ過ぎた場合、筋肉は傷つき緊張状態により血流は低下、筋肉が硬くなることから始まります。単なる筋肉痛などでも回復過程で負担をかければ虚血状態(血液が足りない状態)で酸欠となり、筋肉は痙攣(けいれん)を起こしてトリガーポイントができることになります。
また、精神的ストレスや葛藤などによっても筋(すじ)が持続的な収縮を起こし、虚血状態となり、トリガーポイントが形成されます。寒さ、湿気などが活性化させやすい原因にもなります。
トリガーポイントの痛みの順番
1:筋硬結(きんこうけつ)筋肉が正常時よりも硬くなり、動かしても痛みは無いけれど、押さえると痛みを感じる。この時点で「冷え」やなんらかの「ストレス」を筋に与え負荷をかけると、治癒力を阻害してしまい回復せずに次の段階へ進んでしまいます。
2:潜在性トリガーポイント
押さえると他の場所に痛みを放つ様になり、動かしても痛むため、そのことによる不安や精神的ストレスまたは必要以上に動かさなくなり虚血状態から回復できず、次の段階に移行します。
3:活動性トリガーポイント
押さえなくても、動かなくても痛みを放つようになり、より一層のストレスをうけるようになります。
緊張状態の筋肉の張りはロープ状となっておりそのロープの中にできるのがトリガーポイントです。ロープの中にはヒスタミン、セロトニン、プロスタグランジンなど発痛物質が生産され、痛みのセンサー(ポリモーダル受容器)に感知されると痛みの信号が脳に送信され痛みを感じることになります。虚血、阻血状態(血液不足)が続くと物質が流されず疼痛は増大し持続することになり、筋肉には栄養が回らず脳には痛みの信号が送り続けられる事によって痛みに敏感になります。また損傷部位は治っていても痛みを感じるなどの現象も起こります。
筋の短縮とそれに伴う二次性の痛み
筋肉の短縮は短縮そのものが痛みを起こし、継続的に短縮が続けば筋の接続部にストレスを与え続け、関節のアライメントを狂わして関節痛を引き起こし、やがて退行性の変化を引き起こす原因になりうる。
筋の短縮は様々な形で痛みを発生させる
1:筋肉の短縮は原発性の筋肉痛を起こす。
最初に感じる筋の痛み
2:筋肉の短縮は腱に機械的なストレスを与えて摩擦を促進する。
腱鞘炎・腱炎・ばね指等
3:筋肉の付着部・起始部などで牽引力が増大するとテニス肘・ゴルフ肘・野球肘などのように痛みが生じる。
背部(最長筋)の筋緊張から首・頭痛を引き起こしたりすることもある。
4:椎間を超えた傍脊椎筋群(背骨のすぐ横を縦に走る筋)の短縮は圧の上昇により椎間板の退行変性(変形)や椎間板ヘルニアを起こすことがある。
上にあげたことからも筋肉の緊張・短縮からできるだけ早くに開放されることが望まれます。
当院のトリガーポイントへの鍼治療
阻血、虚血状態(血液が足らない)状態で自然治癒を休止して、拘縮を起こしているロープ状の筋に血液を送り込めるようにトリガーポイントに鍼を刺し、虚血圧迫(トリガーポイントを圧迫して、あえて虚血状態をつくり開放することで血液を流す方法)を行い、痛みの順番を逆に戻り回復を目指します。
治療の流れ
- まず、患者様ご自身がどこに痛みを感じているのか?
- どういう風に体を使ったら、動かしたら痛みがでるのか?
- その痛みを感じている筋、それに関連していると思われる圧痛点を探し、治療ポイント、トリガーポイントを決定します。
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先に述べたようにトリガーポイントは血流が低下し酸素が不足し自然治癒を休止している状態であるから、そこに圧迫刺激と鍼刺激を加え、「まだ、ここは治ってないですよ、栄養を送ってください」と教えてあげるのです。